子どもにどんな名前を付けるか。もう40年以上も前になるが真剣に考えた。読み書きの難解な文字は避ける。子どもが生きる指針となるように―。あれこれ条件を考えて付けた名前を背負った子ども2人は今、父親として生きる。
「何と読むのだろう?」。新聞やテレビに、読めない字、不思議な読みの名前が目立つようになったのは、いつ頃からだろう。学級の何人もがこの種の名で、振り仮名を書いておかなければ出欠が取れないという先生たちの悩みも聞こえてきた。
行政手続きの電算化に向けて戸籍の漢字に読み仮名を付ける検討を進めている法相の諮問機関・法制審議会の部会が先頃、文字の読み方の許容範囲について、三つの案をまとめて発表した。あれも駄目、これも駄目というのではないようで「空(スカイ)、光宙(ピカチュウ)などは漢字の意味との関連性が認められ、受理される可能性がある」などと報道されている。試案では認めない読みの具体例は示さず、意見公募を行ってから指針をまとめ来年の国会に戸籍法改正案を提出する見通し。
先住のアイヌ民族には昔、幼名の他に、個性が分かってから慎重、雄弁などの意味の名を付け直す知恵があったそうだ。子どもから、名前について不満を言われたことはない。いつか酒を飲みながら命名のあれこれが話題になる機会があるかもしれない。批評や不満の対象になるのは自分。耐えられるか。言い訳を考えておかなければ。(水)









