苫小牧東部地域で産業用地の造成や分譲などを行う第3セクター、株式会社苫東の社長を2期4年間務め、24日付で退任する伊藤邦宏社長(68)。道の総合政策部長や公営企業管理者などを経て現職に就き、2018年9月の胆振東部地震からの復旧に追われる傍ら、企業誘致や産業集積に尽力してきた。退任前に苫東地域の情勢や今後の在り方などについて聞いた。
―任期中は地震やコロナの影響も受けたが、20年度は過去最高の売上高。振り返って。
「地震からの復旧は3年、埠頭(ふとう)、岸壁、上水道などの工事に10億円掛かり、コロナで営業活動もできなかったが、苫東はいろんな面で光が当たっている。就任前からかつての工業団地の概念が変化し、食や植物など幅が広がり、(18年にホームセンター大手)コメリの進出で物流基地の姿も明確になった」
「4年間では(7月着工予定の)カネカが苫東の物流に注目し、進出してくれたことが大きい。医療関係でマーケットは海外。最先端の部品を造る流れが一つできた。コメリは道内、カネカは海外と、横ウイングが広がり、苫東の位置付けや価値も高まった」
―エネルギーも力を入れてきた。
「苫東地域は水素の地産地消に適している。RORO船(フェリー型貨物船)で入ってきたFCV(水素燃料電池車)トラックが、水素を充填(じゅうてん)して全道に走る絵が描ける。地元の企業も当然関わってくる話。(8月着工予定の)北電の水素製造装置は実証に踏み込んだ実験プラントだが、土地は広大にあるので将来、水素製造プラントを造る想定も十分あり得る」
「国も北海道に期待している分野で、再生可能エネルギーがかなり生み出されていくことになるが、それをすべて道内で使えるかと言えば、そうはならない。技術的にまだまだだが、水素に置き換え、利用したり、送ったりする方法ができれば、苫小牧は道内唯一の場所になるかもしれない」
―後任は元北海道副知事の辻泰弘氏(66)が就く予定だ。
「カーボンニュートラル(温室効果ガスの実質排出ゼロ)をはじめ、いろんなプロジェクトが苫東で進みそうで、国や道との折衝なども密にしなければならない中、(辻氏は)全方向で仕事をしてきた方。これ以上の人材はいない。広い土地があり、港もあり、札幌圏に近い立地の苫東の新しい展開を期待している」
















