苫小牧市長選挙は無投票が濃厚のようだ。コラム子は、岩倉博文氏が市長選に初当選した時期に市政担当の記者だった。保守や革新という表現が政治勢力の立ち位置を示すのに辛うじてまだ有効だった頃。当時の市長が刑事事件に問われる不祥事で任期途中で辞職し、その市長誕生に大きな役割を果たした岩倉氏が緊急事態での出馬を決めた。一方、労働組合や旧民主党などは市政奪還を懸けて元市長を担ぎ、最終的に一騎打ちの激しい選挙戦が繰り広げられた。振り返れば、市政の信頼回復とともに財政の健全化や行政改革、在日米軍戦闘機の訓練移転への対応など幅と奥行きのある議論があった。
岩倉市政は4期16年続いている。2選となった2010年の市長選は旧民主党系、14年は共産党系の候補が立った。18年は無投票で、今回もその可能性が高い。岩倉氏はかつて、苫小牧の政治風土という表現を使って革新勢力の台頭を警戒した。企業城下町で規模の大きな労働組合が運動の当体だったからだ。すっかり今は昔の感がある。
連続の無風はどうしたことか。人口減、災害、エガオ、IR…。与党的立場であってもこれら市政課題、多選、世代交代は対抗軸化できる重要テーマとなるはず。まして野党的な会派や政党にあっては言葉もない。関係者は存在意義さえ問われると認識しなければならない。4年に1度、投票の権利を行使して政策と人を吟味して選ぶ機会がないのは痛恨の極みだ。(司)









