紙くず

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 苫小牧市長選が12日に告示された。出馬表明していたのは直前まで5選を目指す現職のみで、2018年に続き無投票とみられていたが一転、選挙戦となった。

 道選挙管理委員会によると、札幌、旭川、函館など人口15万人以上の主要6市の中で1947年以降、市長選が無投票になったのは苫小牧を除くと釧路(2005年)と帯広(14年)がそれぞれ1回のみ。苫小牧は鳥越忠行氏が1991、95、99年の3回連続で無投票当選した例もあり、飛び抜けて無投票が多い。投票率も低く、2014年の市長選は39・27%と4割にも満たなかった。

 新型コロナウイルスの感染対策や経済対策を見れば、暮らしは政治と無関係どころか、政治そのものだということがよく分かる。緊急経済対策として政府が創設した地方創生臨時交付金の使い道は自治体によって千差万別だ。巨大なイカのモニュメントに交付金2500万円を充てた石川県能登町は、なぜこれがコロナ対策なのかと批判を浴びた。一方、注目を集めたことで観光客が相次ぎ、設置から10カ月で8万人を超えたという。

 交付金の使途として正しかったかどうかは長期的に見なければ分からない。だが、自治体のトップによって暮らしや町の在り方が大きく左右されることだけは間違いない。選択肢を示せなかった政党勢力には原点から考え直してほしい。有権者はせっかくの投票券を紙くずにしてはいけない。(吉)

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