知床観光船事故 運航会社の事業取り消し 国交省が海上運送法に基づき処分 「安全確保の仕組み破綻」

知床観光船事故 運航会社の事業取り消し
国交省が海上運送法に基づき処分 「安全確保の仕組み破綻」

 知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故で、国土交通省は16日、運航会社「知床遊覧船」(オホーツク管内斜里町)の事業許可を取り消した。海上運送法に基づく処分の中で最も重く、事故を受けた取り消しは初めて。

 同省北海道運輸局は14日、処分に先立ち同社側に釈明の機会を与える聴聞を実施。桂田精一社長(58)は陳述書を提出し、「事故の責任が知床遊覧船のみにあるのはおかしい。監督官庁である国にもある」などと不服を訴えていた。

 同省は事故翌日の4月24日から同社を特別監査。荒天が予想される中、運航基準に反する可能性が高いにもかかわらず出航したことが分かった。

 運航管理者に選任されていた桂田社長については「3年以上の実務経験」の要件を満たすと虚偽申請し、運航中に営業所への常駐義務も果たさなかったなどの法令違反が判明した。聴聞で桂田社長は、違反の一部についても反論していた。

 同省は処分に当たり、「現時点で事故の直接的原因は不明だが、輸送の安全確保の仕組みが破綻し、事故の発生と被害拡大の大きな要因となった」と指摘。「事業を継続させることは再び重大な事故を起こす蓋然(がいぜん)性が高い」と事業許可取り消しの理由を説明した。

 北海道運輸局の岩城宏幸局長も桂田社長に対し、「事実を重く受け止め、行方不明者の捜索に協力し、乗客のご家族への損害賠償について真摯(しんし)な対応を行うよう求める」と文書でコメントした。

 処分に不服があれば3カ月以内に不服申し立てをすることができ、正式に処分が確定すれば、今後の許可取得は2年間できなくなる。

 知床小型観光船協議会 安全確保へ自主ルール 16日から3社で営業再開
 知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故を受け、運航を自粛していた斜里町ウトロ地区の「知床小型観光船協議会」は15日までに、16日から営業を再開することを明らかにした。

 小型観光船を運航する3社が加盟する協議会は事故を受け、安全運航に向けた自主ルールを策定。運航の判断を全事業者で統一することや、海上状況の影響を大きく受ける長距離コースは来年の再開後も運航期間を6~9月に制限すること、海上での連絡体制を整備することなどを定め、ホームページ上で公開した。

 協議会は14日、地元の観光事業者らに営業再開に向けた説明会を実施。協議会によると、反対の声は上がらず、16日からの再開が決まったという。

 同町では大型観光船の運航が5月に始まったが、協議会は事故後、現場付近を通る長距離コースの運航を今シーズンは中止することを決定。再開後は事故現場より手前の短距離コースのみの運航となる。

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