第７５回北海道高校陸上競技選手権大会第２日は１５日、釧路市民陸上競技場で男女１０種目の決勝などが行われた。男子１００メートルの橘弘栄（北海道栄３年）が１０秒４３で優勝、エケ・ジュニア瑠音（同）が１０秒６１で２位となった。女子１００メートルの納村琉愛（同）は１１秒７０で優勝し、１００メートルハードルと合わせ個人２冠。女子４×１００メートルリレーでも道栄（堀下結愛、納村琉愛、石田真夕、武田愛結花）の優勝に貢献し、２００７年の寺田明日香（３２）＝ジャパンクリエイト＝以来となる３冠を決めた。
　男子円盤投げは内田勘太（道栄３年）が４８メートル９３で１位、久米漣斗（苫小牧東２年）が４２メートル０５で２位となった。
　女子三段跳びの堀下結愛（道栄２年）は１１メートル３７で２位。男子４×１００メートルリレーの苫小牧東（南陽登、吉田晴樹、三上蒼太、ローズ泰陸）は４２秒２６で３位入賞を果たした。
　関係分の決勝結果は次の通り。
　【男子】
　▽１００メートル　（１）橘弘栄（北海道栄）１０秒４３（２）エケジュニア瑠音（同）１０秒６１（５）山﨑流（苫小牧高専）１０秒７８▽４×１００メートルリレー　（３）苫小牧東４２秒２６▽円盤投げ　（１）内田勘太（北海道栄）４８メートル９３（２）久米漣斗（苫小牧東）４２メートル０５（１０）兼本洸埜（厚真）３５メートル４６▽八種競技　（１３）小澤斗維（北海道栄）３６５２点（１９）高原陸（同）３２４９点
　【女子】
　▽１００メートル　（１）納村琉愛（北海道栄）１１秒７０▽１５００メートル　（４）松木七光（北海道栄）４分３６秒６５（１５）山崎浩奈（同）５分８秒０７▽４×１００メートルリレー　（１）北海道栄４７秒８３▽三段跳び　（１）堀下結愛（北海道栄）１１メートル３７（１８）高桑由奈（同）１０メートル１２

―橘、課題の後半に粘り 
　予選、準決勝ともに全体１位のタイムをマークした橘は決して本調子ではなかった。特に後半は「脚が後ろに流れてしまう」と不安を抱えていた。
　決勝は、まれに見るハイレベルな舞台になった。進出者全員が準決勝で１０秒台を記録。橘は３レーン。隣の４レーンには切磋琢磨（せっさたくま）してきた優勝候補のエケがいた。
　スタートから先頭に躍り出た橘は、課題の後半も粘りトップでゴールラインを通過した。「中盤まで横目で見えていた」エケは残り十数メートルで右足を痛め失速。着順では上回ったが「実力はまだ及ばない」とさらなる飛躍を誓う。
　登別市出身。先に頭角を現した昨年のＵ１８全国大会４位のエケや清水（３年）といった同期の陰に隠れた存在だった。「陸上に本気で取り組んでいない」ことを仲間の姿から気付かされ、心を入れ替え練習に励みようやく日の目を見た。
　昨年の全国高校総体は予選敗退。今年は「エケと２人で決勝の舞台に立つことが目標」と力を込めた。

―内田（道栄）久米（苫東）「東胆振勢のワンツー」
　東胆振勢のワンツーフィニッシュが実現した。
　まずは内田（道栄）が決勝で好記録を連発した。強風吹く悪条件の中「腕の振りを速くして風に負けず押し切ろう」と４回目で目標とした４７メートル越えを果たすと、５回目には「自分でもびっくり」とさらに１メートル以上記録を伸ばした。
　４８メートル９３は昨年の全国高校総体で４位に入る記録。当時２年生で出場した内田は記録なしの予選落ちだった。悔しさをバネにフォーム改造など技術面を磨いてきた。「今年の高校総体は５０メートル越えをして、悔いなく終えられるようにしたい」と意気込む。
　上級生たちを抑え２位に入った久米（苫東）は「自己ベストは出せたけど、４５メートル以上を投げて優勝を目指していた。うれしさより悔しさのほうが大きい」と言う。
　投てき時のターンと円盤を投げる手の振りがうまく連動せず、「イメージした投げは１回もできなかった」。身長１８５センチの恵まれた体格の持ち主。今回の課題を克服し「高校総体では４５メートル以上の記録を出したい」と前を向いた。

― 苫東・堀下、２位で全国切符
　堀下が決勝１回目で大跳躍を見せ、他種目よりも少ない上位４枠の全国挑戦権を手にした。
　５月の支部予選で右足を痛めて満足のいく練習が積めず、ほぼぶっつけ本番の状態だった。「不安だったけど、最初のホップがいつもよりうまくいった。ほっとした」と話す。
　１００メートルや走り幅跳びが主戦場だが、昨年１０月のＵ１８全国大会男子三段跳びで７位入賞を果たした伊藤（３年）らの姿を見て、「楽しそう」と今年から同種目に挑戦。初陣となった５月の道内記録会で追い風参考ながら１１メートル９２をマークするなど、大器の片りんを見せている。
　けがの経過は良好。見据える高校総体では「悪いところをしっかり直して、１２メートル以上の記録を出したい」と語った。