物流費の上昇や円高で、食品が毎月、値上がりしている。5月には、10個で150円ほどだった鶏卵が200円前後になった。道内で鳥インフルエンザが発生した影響などで、何かと使う食材だけに大きな痛手を被っている。
家計が値上げで受ける圧迫を和らげるには、安い食材を買って無駄なく使い切ること。最近はたびたび、激安食品店の商品とそれを使ってできる料理の作り方がテレビで紹介されている。番組が続いているのは、効果がすぐに出る節約情報が求められ、好評だからだろう。
この国の消費者は値上げに敏感だ。現役世代の給与は長引く景気低迷で横ばいだし、高齢者の年金受給額はそれぞれ定まっている。支出だけ増えるのは死活問題で、値上げとなれば財布のひもをキュッと締める。
それでも食品店は売らなければならず、安く売るために仕入れ量を増やし、卸やメーカーとの交渉を有利にしようとすることもある。売り手の手法の一つだが、大量仕入れは過剰生産を招き、消費者の買いだめ意欲を刺激すれば過剰購入も誘発する。結果、食べられるのに余して捨てる食べ物を生めば、「食料自給率の低い国のすることか」と海外に言われかねない問題となって私たちに降り掛かる。
物価高では安い物を選びがちだが、別の社会問題に結び付くのなら、それがいいとは言い切れなくなる。圧迫と矛盾に悩まずに済むよう、値上げが落ち着く日を待ち望んでいる。(林)









