夢で

夢で

 1年中で最も昼間の時間の長い季節。今朝も窓の外が白み始め、念のために時計を見た。まだ午前4時前だった。「もう一眠りできる」と分かった時のうれしいこと。

 何があっても熟睡でき、朝になれば跳ねるように起きる子どもだったのに、この数年はぼうこうからの黄信号で深夜や未明に起こされ、眠りに手応えがない。夢の中で、いろいろなことを考えている。今なら登山。

 覚えたのは30歳ごろに勤務した、当時の静内支局。晴れた日には、小用を足す支局のトイレの窓から標高1842メートルの1839峰がしっかり見えた。日高山脈の稜線(りょうせん)から分岐した支稜線に鋭いやじりのようにそびえる美しい山だ。一本南の支稜線はペテカリ岳(1736メートル)から延びる西尾根。強風にもまれて幹の形のゆがんだダケカンバの老木に笑われながら、残雪の照り返しで顔や首にやけどを負って歩いたことを思い出す。歩き方を教えてくれた何人かは、もうはるか遠くの国へ行ってしまったが、夢の中の笑顔は、元気いっぱいだ。

 40代後半からは毎週のように樽前山(1041メートル)や大雪山系、ニセコ連山に出掛けていたが、この数年は体調不良のためにごぶさたが続く。何の罰なのか困ったもの。この数日、樽前山の写真が本紙の紙面を飾っている。持ち込まれたコマクサの除去が始まるとか。純白のイソツツジの球状の花も咲き始めたようだ。脚の動く夢が見られますように、もう一眠り。(水)

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