参院選は苫小牧辺りでは静かだ。胆振日高が選挙区となる衆院選と異なり、参院選は道内一円。候補者が12人いても街頭で候補や選挙カーを目にする機会は少ない。関心が高いような空気感もない。
風が吹いて「山が動いた」参院選や政権が交代した衆院選を取材したことがあるが、今の国際情勢や暮らしを見れば政治への関心や危機感は高まりこそすれ低下する理由はない。この静かさに大げさでも不安と不穏な未来が連なる。先の参院選の投票率は48・8%。2人に1人も投票していない。20代は30・9%、10代で32・2%だった。
昨夏、携帯ショップを訪ねた時のこと。20代ほどの女性スタッフは当方の要件の聞き取りもスマホもパソコン操作も手際がいい。感心したこともあって、長い手続きの間に雑談を試みた。開会中の東京五輪の話題を振ると「テレビとか見ないので」「いつまでやってるんですか」と返され話は終わった。情報は動画投稿サイトで十分という。
ネット空間で触れる情報は特定のものになりやすい。その人の閲覧や入力の履歴に沿った情報が優先的に示される。その世界にだけいれば情報過疎になる可能性もある。仕事のできるあの若い女性は選挙につながる情報を自ら求め、投票する行動につなげてくれるだろうか。
新聞はどうしたら政治に無関心な人たちに考える素材を提供できるか、記事を読んでもらえるか―。選挙のたび、出口の見つからない迷路にいる。(司)









