おじやおばの名前や人数を、ほぼ覚えている。母は女6人男2人の8人きょうだいだ。偶然だが妻の父も女5人男3人の8人きょうだい。大正~昭和期の農漁村の一般的な子どもの数かもしれない。
少子化が進む。厚労省が上旬に発表した人口動態統計によると2021年の出生数(概数)は前年比約3万人減の81万1604人。統計開始以来の最少を更新し80万人割れは目前だ。
敗戦の5年後に生まれた自分は団塊の世代のしんがり。すし詰めの教室で過ごし、大切に扱われた実感は少ないが、自分たちには250万人の同学年がいたのに―と、3分の1への減少が不思議でならない。何が若者たちを結婚や出産から遠ざけているのか。答えがまとまらぬ間に子どもが減り続けている。
「産めよ増やせよ」と、政治が出生数に直接介入したことがある。岩波書店「年表 昭和・平成史」を見ると1940(昭和15)年11月3日の項に「厚生省(当時)、10人以上の子をもつ親を『優良多子家庭』として表彰」の文字。どんな成果を上げたかの記載はないが、日本は翌年12月8日、真珠湾を攻撃して、一気に戦線を拡大した。
国は今、少子化に関連して年金制度や福祉、介護の担い手不足の危機を指摘する。若い母親候補、父親候補に不安は通じているだろうか。政府が先頃、閣議決定した2020年版の男女共同参画白書によると30代の独身男女の4人に1人は「結婚願望なし」と答えたそうだ。(水)









