昆虫を食す

昆虫を食す

 好奇心から話題の昆虫食を体験したくなり、苫小牧市内のリサイクル店に置かれた自動販売機で買ってみた。一袋15グラム入りで1200円。ちょっと高かったけれど、コオロギやケラ、ゴミムシダマシの幼虫など5種類がたっぷり入っている。素揚げに調理されているが、姿形は虫そのものだ。皿に広げ、じっくり観察した後、恐る恐る口の中へ。薄い塩味で小エビのような食感。おいしいとは言えないが、捨てるのはもったいないと、からからに乾いた芋虫やバッタの類いを黙々と食べるわが行為に、家族が奇異の目を向けていた。

 昆虫食は今、世界的に注目を集めているという。きっかけになったのは、2013年に国連食糧農業機関(FAO)が出した報告書。50年には100億人に迫ると予想される世界人口の増加により、深刻な食糧難への懸念が強まる中、その解消に向けては昆虫が貴重な役割を果たす―と指摘した内容だ。たんぱく質など栄養価が高い、繁殖力が強く短期間に大量生産できるといった特性から、FAOは持続可能な食糧供給の有望な資源と捉えているようだ。

 昆虫食の文化は昔からアジアやアフリカなどにあり、日本でも一部地域で伝統食として根付く。見た目から敬遠する人は少なくないが、ウクライナ情勢でいっそう人ごとでなくなった食糧問題を考えるためにも、試しに食べてみてはどうか。自動販売機ではカイコやコオロギ入りのカレーも売っている。(下)

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