てまえどり

てまえどり

 食品店では、陳列棚の手前の方に、賞味期限の近い品が置かれている。これを積極的に買うようにするのが「てまえどり」。期限が過ぎて廃棄される品を減らす運動で、6月の本紙なんでもトーク欄で、いっとき話題になった。運動に協力できない人々がその事情を寄せ、理解を求めたのだ。

 てまえどりが必要になる背景には仕入れ過ぎもある。売るためには当然の戦略だが、仕入れ量を控えれば廃棄品を減らすことはできる。売れ残りかけた時の値下げ販売のための作業や、その後の廃棄作業も減る。長所ばかりではないが、仕入れ量を見直す意義はあるのでは。

 客は時々売り切れに遭遇するかもしれないが、買い物は本来売り切れごめん。無ければ諦めるか、代用品の活用を考えればいい。例えば、牛乳は豆乳で代用できる。豆乳は容器が工夫されているので賞味期限まで数カ月あり、買い置きしておける点でも便利だ。「違うが似ている」食品の組み合わせは他にもあり、廃棄品を減らすことになるなら、急場は代用品でしのぐことを考えてもいいのでは。

 トーク欄は「てまえどりは、できる範囲でいいのでは」という、もっともな意見で落ち着いた。大事なのは、食べられるのに捨てられる食品を減らすこと。てまえどりはそのための手だての一つであり、作り手、売り手、買い手のそれぞれが、日ごろから知恵を絞り、できることを試みればいい。方法はたくさんあるはずだ。(林)

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