進路

進路

 国民や周囲が「恥ずかしい」と評価を下すような政治や政治家がこの数年、増えている気がする。日本だけでなく、世界規模での話だ。

 イギリスのジョンソン首相が財務相と厚生相を含む政権幹部や官僚約50人から辞表を突き付けられた。氏は7日、与党・保守党の党首と首相を辞職すると声明を読み上げた。新型コロナ対策で国民に自粛を求めながら自らは官邸でパーティーを繰り返していたことなどで国民の支持を失った。テレビカメラを向けられた女性の「誰がなっても彼よりはまし」と言い放つ笑顔は、怖いほどに冷静だった。

 横綱はアメリカの前大統領トランプ氏だろう。相変わらず都合の悪い批判は「フェイク」と切り捨て、テレビ画面には肥った腰をくねらせる姿が映る。

 もう一人の横綱はロシア大統領プーチン氏か。ウクライナ侵攻に当たって核の使用をにおわせた冷酷さが国内外の反感を集め、攻撃の残虐さにさらに非難が強まる。国内外に「恥ずかしい」の声が広がる。「このごろはロシア人であるということに苦痛を覚える」と始まる作家の文章が、日本の新聞に寄せられた。読みながら恥を考えた。

 あす10日は参院選の投票日。民主主義を掲げる国の政治の根幹は選挙。有権者は自分たちの質以上の政治家を選ぶことはできないそうだ。安倍晋三元首相が8日、奈良で凶弾に倒れ、経験のない騒乱の中での選挙になった。この国はどこへ向かうのか、考える一日にしたい。(水)

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