ウトナイ湖

ウトナイ湖

 苫小牧に来た3年前、春から夏にかけて霧や雨ばかりだった記憶がある。ところが今年、霧で前が見えない日はほとんどなかった。温暖化の影響だろうか。めったに30度も超えない夏に感謝し、ぐずついた春の日を帳消しにしてもいいと思うのに、苫小牧までもが連日、猛暑日を記録するような都市になってしまうのか。

 約6000年前、勇払原野は海の一部だった。海流や河川に運ばれた砂が堆積し、やがて砂浜となり、草が生え、美々川から注ぐ水がたまってウトナイ湖ができた。長い年月をかけ形作られた自然や生態系は壊れやすく、守るのは難しい。ウトナイ湖野生鳥獣保護センターができたのは20年前の7月。環境省の野生鳥獣との共生環境整備事業の国内第1号として開設された。23日からはいろいろな記念事業も予定されている。

 だが、ウトナイ湖に行くのは自分にとっては難しい。運転免許も車もなく道南バスに頼るしかない。苫小牧駅と新千歳空港を結ぶ千歳空港線の「ウトナイ湖」停留所で降りる。1時間に1本しかない。最初の年の12月、何としてもハクチョウが見たくて時刻表で帰りの時間も決め、万全の防寒対策をして出掛けた。行ったのはこの1回だけだ。路線バスは移譲から10年。高齢社会で公共交通機関の重要性は増す一方なのに、利用者の減少が路線減を招き、さらに利用者が減る悪循環を断ち切れない。ウトナイ湖も夏なら、少しは行きやすいだろうか。(吉)

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