苫小牧市植苗のウトナイ湖野生鳥獣保護センターは28日、開設から丸20年を迎えた。ウトナイ湖の自然について映像や展示で解説し、傷ついた鳥獣の治療や野生復帰へのリハビリも続けてきた同センター。唯一の獣医師として15年前から働く山田智子さん(43)は「人間の営みが自然環境や動物に与える影響を知ってもらい、自らできることを考える場所になれば」と期待を込める。
同センターは環境省の「野生鳥獣との共生環境整備事業」の国内第1号として、2002年7月28日にオープンした。国と苫小牧市が共同管理し、ウトナイ湖や周辺の自然環境が野生の動植物の生息・生育地として保たれるよう▽国指定鳥獣保護区の管理▽普及啓発事業▽傷病鳥獣救護―の主に三つの役割を担っている。
山田さんは「働き始めた頃、地元の人でも知らない人が結構いて、驚いた」と振り返る。センターをもっと知ってもらいたいと09年、市内の小学校を対象に「いのちの授業(現こころの授業)」を始めた。山田さんが学校に出向き、実際に保護した動物を見せながら、傷病鳥獣の現実を解説する。
「動物の息づかいも感じてほしい」ため原則1クラス単位で行い、毎年17校前後から依頼がある。ウトナイ湖など身近な自然の魅力を伝える一方、交通事故に遭ったり、人間が捨てたごみを食べたりと、人間社会が原因で傷つく動物がいることを説明する。授業に臨む子どもたちのまなざしはいつも真剣で後日、「学校で自然環境を守るクラブをつくりたいと相談に来た子もいる」と手応えも感じている。
年間の来館者数は開館当初は7万人台に上ったが、近年は4万~5万人台で推移。新型コロナウイルス禍が直撃した20、21年度は3万人台まで落ち込んだ。22年度は回復の兆しが表れ、札幌など市外からのリピーターも少なくないという。同センターのSNS(インターネット交流サイト)を通じて、一度の来館で終わらない、継続的なつながりも生まれている。
「『いつも活動を見ているよ』『応援しています』などと温かい声を掛けてくれるのが一番の支え」と感謝する山田さん。「この場所だから得られる情報を積極的に発信し、より良い自然環境を保つため、皆さんと一緒に考え、活動していきたい」と力を込めた。
















