「札幌じゃないみたい」―。札幌生まれの市民から、こんな言葉がささやかれた去年の夏。東京五輪のマラソン競技が終了するまで、約1カ月にわたり真夏日が続いた「暑い夏」を思い出している。
あれから1年。今年は参院選終了後、札幌は「涼しい夏」が続いている。3年ぶりに大規模な花火大会も復活。大通公園では夏の風物詩「大通ビアガーデン」も久しぶりに開業。五輪競技で沿道の観戦自粛が呼び掛けられた昨年とは打って変わり、行動制限のない夏となった。
ただ、足元では新型コロナウイルス感染拡大の「第7波」の勢いが止まらない。新規感染者数は一昨日が5522人、昨日も5676人と2日連続で過去最多を更新した。開催賛否で世論が揺れた昨年の東京五輪開催期間、道内の7月29日の新規感染者数は260人だった。今回の感染拡大の波が、桁違いの大波であることが分かる。
ただ、道の調査では新規感染者のうち、9割以上が軽症か無症状。中等症以上は少ない。このため感染爆発の割には入院患者が少なく、病床使用率は23・1%と全国では下位に位置する。一方で自宅療養者は急増し2万8513人と3万人に迫り、同居家族の負担は確実に高まっている。鈴木直道知事は現時点で、まん延防止等重点措置など行動制限を国に要請する考えはなく「社会経済活動を可能な限り維持していきたい」との姿勢を崩さない。「ウィズコロナ」の実験のような夏が行く。(広)









