合い鍵

合い鍵

 目に見える老いなど大した問題ではないのかもしれない。もっと身近な、例えば風呂やトイレなども高齢者にとっては怖い試練の場所。まさかへの備えは常に必要だ。

 数日前の全国紙生活欄で、大阪の81歳の一人暮らしの女性が経験した自宅浴室での事故の記憶が紹介された。転んで浴槽から出られなくなり3日目に助けられたという。いつも通り風呂に入り、上がろうとした時に右足が滑って転んだ。その後左足が上がらず、50センチほどの浴槽の縁を越えられない。何度も挑戦し蒸し暑いのでお湯を抜いたら寒くなった。助けを呼んだが風呂には窓もない。記事を読んで震え上がった人は多いはず。

 助けてくれたのは友人と隣人だ。カラオケの約束の日時なのに現れないのを不審に思った友人が、「万一の時のためにお隣さんに鍵を預けた」と話したことを思い出してくれたのだ。

 危機の経験談は身辺にだって多い。屋内で転び、頭などを打って立ち上がれなくなった―。トイレのドアが壊れて開かず、何時間も閉じ込められた―。ギックリ腰の強度の発作で一歩も動けなくなってしまった―。

 思うように歩けない―。そんな悩みを持つ人も多い。津波が来たらどうしよう。近所付き合いの再確認や携帯電話を「放置電話」にしない工夫などすぐにでもできる対策だって、ある。青年都市苫小牧も人口の30%が高齢者とか。わが家では、取りあえず合い鍵を1個、近所に持っていただくことにした。(水)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る