ヒロシマ

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 ヒロシマ原爆資料展(~21日)が苫小牧市文化交流センターで開かれている。道内唯一という非核平和都市条例の施行20年を記念した苫小牧と、広島両市の共催。資料展が始まった7月30日の本紙の記事を見て、会場に足を運んだ。

 開催期間の最初の日曜。混雑は避けたいと思っていたら、来場者は少なくゆっくりと見学できた。機会を見つけて被爆地を訪ねたいとぼんやり思っているうちは行けないもの。せめて広島平和記念資料館の収蔵資料に触れられる機会は貴重だ。

 展示品には被爆者の遺品もあった。亡くなった際の様子、遺族から資料館に遺品が託された経緯が紹介されている。熱風にさらされ、火炎に包まれ、放射能でむごい亡くなり方をした人たちと遺族の無念さ、悲しみ、怒りが見る側に投射される。

 とりわけ揺さぶられたのは、被爆者に聞き取りをして高校生が描いた被爆直後の広島の絵。一つは、がれきに挟まれて身動きできないまま炎に包まれ、鬼のような形相で母を呼ぶ幼い子の視線を受け止めながら逃げる女性。あるいは原爆投下の翌日、火葬のために無数の遺体を井桁状に組み上げ連ねた場面…。作品は5点。高校生と被爆者が、地獄のような絵図を表現し、描写するため、何度ももがき苦しんだことが絵を通して伝わる。

 祈りと追悼の8月。昨年までと違うのは、ロシアが核で威嚇して侵略戦争を繰り広げていること。ロシアと核にどう向き合うか、改めて銘じる。(司)

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