3年ぶりのとまこまい港まつりが7日に閉幕した。新型コロナウイルス感染拡大の心配は消えないものの、浴衣姿の若い子や手をつないだ家族連れの姿はやはり、気持ちを明るくしてくれた。夜、中心市街地を人が歩いているだけでも相当珍しかった。普段は、例えば雨の日、降っているのか、やんでいるのか、道行く人が傘を差しているかどうかで確かめようと窓から外を見ても、歩いている人は一人もいない。
宇都宮市で働いていた時に取材した栃木県警の警察官と、JR新宿駅前で待ち合わせをしたことがある。人混みの中から現れた警察官は「(きょうは)祭りけ?」と聞いた。新宿はあまりに極端だが、17万人都市で駅前に人の姿がほとんどない苫小牧も逆の意味で別格だと思う。
市の施策51項目の満足度を尋ねる市民アンケートで、「駅前や駅通りを活気あふれる地区にすること」の満足度の偏差値が13・0と最低だったことが分かった。他の項目は低くても30台で、不満の度合いが飛び抜けている。旧商業施設「苫小牧駅前プラザエガオ」が閉鎖されてから、30日で丸8年になる。
相手(一部土地所有者)があることで、訴訟期間も長かった。年度内には、中心市街地の再生に向け苫小牧駅周辺ビジョンを策定する―。市は繰り返し、そう説明する。同ビジョンのポイントは「歩きたくなるまちづくり」だという。巨大な廃虚ビルがあのままで、歩きたくなるまちになるわけがない。(吉)









