戦没者の配偶者や子どもが高齢になり、戦争体験者の遺品がインターネットオークションなどに出品されることが増えてきた。
軍服、軍帽、千人針などで、「大切にしてくれる方に購入してほしい」「腕章の裏の個人名は画像処理しています」といったコメントが添えられている。出品者の思いが感じられ、全国の博物館や資料館が社会全体の共有物として、地元ゆかりの遺品をそれぞれ入手していけないものかと考えたりする。
聞き取り調査ができれば、そのまちゆかりの歴史資料となり、博物館などが収蔵する戦争資料とのつながりが生まれる。そういう資料が増えていけば、戦争に関する企画展を開く際、テーマ設定の幅が広がり、地元での戦争を多角的に住民に伝えられるようになる。
各地の博物館などが資料をもっと貸し借りして戦争の企画展を開くようにすれば、住民は他のまちの戦争の様子も知ることができ、理解を深められる。学芸員は学術研究の好機を得られ、今まで知り得なかった新たな戦争の全体像が浮かび上がってくる可能性もある。
ヒロシマ原爆資料展が苫小牧市文化交流センターで開かれている。原爆の熱線で焼け焦げた自転車などが展示され、広島の人々に起きたことを北国の住民の胸に焼き付けている。遺品の一つ一つに人の物語があり、どれも大切に扱われ、企画展や研究に活用されることを望む。戦争が風化しないように。(林)









