視点

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 ロシア軍のウクライナ侵攻が始まって6カ月が過ぎた。寒かった開戦の2月が春に変わり、夏が過ぎてもミサイルや戦車砲は人を殺す。

 半年に合わせたように、駅が爆撃され、子どもも犠牲になった。欧州最大の原子力発電所の占拠が続く。テレビニュースに写ったキーウ(キエフ)では大音量のミサイル警報が流されても、歩行者は無反応に見えた。半年という長い恐怖の時間の中で、何が変わったのだろう。

 ロシアのプーチン大統領が核兵器使用の可能性を明言して始めた侵攻。子どもや女性、お年寄りも殺し、個人住宅から学校や病院まで破壊し尽くす爆撃は西側のマスコミから「プーチンの戦争」として指弾される。

 報道や出版の視点が少し変わってきた。フランスの歴史・人口学者エマニュエル・トッド氏は、文春新書「第三次世界大戦はもう始まっている」で「戦争の責任は、米国とNATO(北大西洋条約機構)にある」との視点から分析する。米英軍が行ってきたウクライナ軍の訓練がロシアを追い詰めて侵攻につながった。アメリカだけが正しい訳ではない。そんな視点だ。

 アメリカは1兆4500億円の兵器供与を決めたが、ロシアの核使用への懸念から「高性能の武器供与」は避け、それが停戦や終戦への道筋を、さらに見えにくくしている―という報道もあった。考えさせられた。

 秋の次は、厳しい冬。ウクライナ国民が背負わされているものの大きさ、重さを思う。(水)

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