日本政府は6日、ロシアが北方四島の「ビザなし交流」や「自由訪問」に関する日ロ間の合意を一方的に破棄したことを受けて、ロシア側に抗議した。ロシアのウクライナ侵攻に対する欧米各国の対ロ制裁に参加した日本への揺さぶりとみられるが、ロシアの対日強硬姿勢がよりあらわになり、今後の日ロ関係は一層不透明さを増した。
岸田文雄首相は6日、「極めて不当なもので、断じて受け入れられない」と述べ、ロシア側の対応を厳しく批判した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
ビザなし交流などの北方四島での交流事業は2020年度以降、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に実施が見送られてきた。そんな中、ロシアは今年3月、ウクライナ侵攻に対する日本の経済制裁に反発し、事業の停止を発表していた。
今回のロシア側の対応は合意の破棄に踏み込むもので、外務省幹部は「今後、再開交渉をする時にはゼロからのスタートになるかもしれない」と指摘。別の幹部は「ロシアは欧州に対してエネルギーの輸出制限など制裁への報復をしている。その一環だ」と批判した。
ロシアが今後も日本への対応をエスカレートさせれば、日ロ関係のさらなる悪化は必至。北方領土問題を含む平和条約交渉の再開など両国間の懸案解決は程遠くなることから、首相は「高齢になられた元島民の方々の思いになんとか応えたいという考え方は変わりない。今後のロシアの対応について、しっかり注視したい」と語った。
元島民 一方的なロシアに憤り 再訪機会喪失に不安の声も
ロシア政府が北方四島への「ビザなし交流」に関する合意を一方的に破棄したことを受け、元島民からは6日、ロシアへの憤りや、再び島を訪れる機会が失われることへの不安の声が聞かれた。
1992年の初回から交流事業に参加してきた色丹島出身の得能宏さん(88)は「ロシアは一方的に理由をつけて約束事を破っている」と怒りをあらわにした。過去にも交流事業や墓参が中止になったが再開されてきたと話し、「墓参の道も残っている。諦めることではない」と強調した。
自身は高齢なことから、再び島を訪問できるかどうか「不安だ」とも漏らした。「運が良ければ島に行けるチャンスが来る。希望を捨てず、それまでは頑張りたい」と力を込めた。
択捉島出身の松本侑三さん(81)は「破棄は衝撃。非常に残念で、憤りを感じる」とがくぜんとした様子で語った。その上で、政府に対し「ロシアと交渉できる場をつくり、領土問題解決に一歩でも近づいてほしい」と求めた。
北方四島に隣接する根室市の石垣雅敏市長は「時計の針を戻す行為は決して容認できず、一度開いた扉は閉じ切ることはできない」とのコメントを出した。
















