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 わが家で飼っている黒毛の子犬は散歩中、必ず進路上にあるすべての木の匂いを嗅ごうとする。あくまでターゲットは樹木。電柱には目もくれない。強引に先へ進めてもリードを引く手を緩めるとダッシュして「未チェック」の木まで戻っていく。「駄目だよ慌てちゃ。これは仕事なんだから」と諭すかのように。まるで木の検査員。チェック後の表情は何だか誇らしげだ。

 そんな雌犬も7月に1歳を迎えた。多頭飼育崩壊の現場からの保護犬で「シュナウザーとダックスのミックスか」「いやマルチーズとトイプードルだ」とかいろいろ言われるが、飼い主的にはどんな掛け合わせでも構わない。他の家族と同様に怒り、笑い、寂しがる姿はただかわいく、ずっと元気でいてくれることだけを願っている。

 新型コロナウイルス流行以降、在宅時間の増加を背景にペットを飼う人が急増。今や飼い犬、猫は15歳未満の子どもの数を上回るという。一方で経済的困窮から手放したり、安易な気持ちで購入するも飼育が困難になったりするケースが後を絶たず、2020年度に全国の保健所などで殺処分された犬、猫は2万3764匹。依然、放棄される数が多過ぎ、保護が追い付かない。生体販売が続く以上、繁殖業者やペットショップに対する規制は必要だが、適正飼育の啓発強化も欠かせない。飼い主には寿命まで生活を共にする覚悟が求められている。20~26日は動物愛護週間。(輝)

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