胃袋の老化が何よりの物価対策のつもりだったが、この間の広く厚い物価上昇には通用しない。家人は夫婦2人暮らしの友人から「来月の予算に手をつけてしまいそう」という嘆きを聞いたそうだ。
子育てを経験し10代後半の、とりわけ運動をしている男子を育て、その胃袋に入る食料の多さを日々目撃した経験があるから、小麦粉や食用油の値上がりぐらい―と高をくくっていた。しかし、工業製品の原材料価格の上昇や農産品の生産原価の上昇に燃料や輸送費用の高騰なども加わって多くの製品の価格見直しが一斉に進む恐ろしさ。
政府は先に、低所得の1600万世帯への5万円給付、ガソリン価格高騰を抑える補助金支出の年末までの延長、輸入小麦売り渡し価格の据え置き、地方自治体が消費を下支えするために行う独自商品券の発行原資とする臨時交付金の創設など、物価高対策の支援を発表した。
ロシア軍のウクライナ侵攻も物価高の大きな要因の一つだ。ウクライナでは農地や生産機材が破壊されており、輸出が復活しても来年以降に難題が残る。ロシアの経済制裁への参加度合いによる報復がどうなるかも不安の種。天然ガス輸送のパイプラインが点検名目で止められた国の動揺も人ごとではない。
カボチャやジャガイモ、トウモロコシがうまい。モモやナシの甘い香りがうれしい。稲刈りも本番。食卓に新米の輝く日も近い。来年は、平和でおいしい秋を迎えられますように。(水)









