老人の日

老人の日

 きょう15日は「老人の日」である。長寿の世の中を喜びつつも、日の名称が何か心に突き刺さる。人ごとのように思っていた高齢期が刻々と迫っているせいか。還暦のお祝いと、家族に無理やり赤いちゃんちゃんこを着せられ、ぼうぜんとしたまま写真まで撮られた昨年の衝撃の日を思い出してしまったからか。あと何年かたてば、高齢者と呼ばれる年齢。抵抗するように、真っ白くなった髪を黒く染める気はないが、未知の世界に突入していく感じがして少し不安もある。

 国の統計によれば、8月1日現在の65歳以上は3626万人。増え続けており、割合を示す高齢化率は30%に迫る。団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となる3年後には35%に達するらしい。国民の3人に1人。世界に類を見ない超高齢社会が到来する。備えて、必要な人に届ける医療や福祉システムの深化が欠かせない。

 労働人口の減少や医療費、介護費の増大―。高齢化の進展に伴う課題はいろいろあるが、年を重ねた人たちの豊富な知識や経験は懐の深い社会をつくる力になるはずだ。ひとまとめに支えられる側の世代と捉えず、仕事であれ、ボランティア活動であれ、活躍の出番を促す制度の充実を求めたい。

 自宅のある苫小牧近郊の町は既に住民の約半数が高齢者。だが、健康づくりにいそしみ、生き生きと地域に関わる魅力的な人も多い。自分はどうしようか。老人の日に思案する。(下)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る