活字

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 「僕はそんな心が卑しくね、今まで50年間も経営したことはないんですよ」。東京五輪・パラリンピックのスポンサー選定に便宜を図ってもらう見返りに、大会組織委員会元理事に賄賂を渡したとして贈賄容疑で逮捕された出版大手KADOKAWAの角川歴彦会長が逮捕前、取材にそう答えているのをテレビで見た。事実の否定にとどまらず、「心が卑しい」という言葉まで使って主張したので耳に残った。否定の仕方が過剰で不自然だと思った、と指摘するテレビ番組のコメンテーターもいたが、事実の解明は裁判に委ねるしかない。

 若い世代の活字離れに苦しむのは新聞も書籍も同じで、一方的かもしれないが、出版社には頑張ってほしいといつも思っている。角川といえば1970~80年代の角川映画を思い出す。書籍を映画化し、テレビCMで大々的に宣伝する。メディアミックスと呼ばれる広告戦略は「野性の証明」「セーラー服と機関銃」「時をかける少女」など数々のヒット作を生んだ。

 今はローマ字のKADOKAWA。同様に逮捕者を出したAOKIも元は「洋服の青木」だった。多様な事業を手掛け、組織も大きくなり、ブランドイメージや海外戦略もあるだろう。だが、漢字のままではいけなかったのか。新聞も紙だけで生き残れる時代ではない。自分の頭が古いのは分かっている。でも将来万が一、MINPOUにしようという意見が出たら、断固反対を叫ぶつもりだ。(吉)

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