新型コロナウイルスの「第7波」が峠を越えたようだ。新規感染者数の推移を見ると、そう判断しても問題はない。専門家も指摘している。その根拠となる患者の「全数把握」の見直しが始まった。
全数把握の見直しというと、患者数の把握をやめてしまうかのようにも聞こえるが、そうではない。医療機関が患者の氏名や年齢、連絡先などの細かい情報を保健所に報告する「発生届」に入力するのが見直される。
65歳以上や重症化リスクの高い人が対象で、若い世代や無症状などの患者は「発生届」に入力しなくてもよくなった。ただし、総数として患者数は把握される。首都圏などでは、この入力作業に時間がかかり、肝心の患者を診察できない医療機関が続出したと報じられていた。
地方ではコロナ患者を受け入れる医療機関が少ないだけに、医師の負担軽減は歓迎すべきだが、届け出から外れた患者の急変時の対応は大丈夫なのか。受け入れ体制は各自治体で万全なのか。不安はまだ尽きない。
それにしても遅くはないか。本来なら、患者数のピーク前にやるべき問題で、今となってはどのくらいの効果があるのか疑問さえある。これまでの知見で5月の連休、夏休み、年末年始に患者が増えるのは分かっているはず。なのに対応が遅い。7、8月だけでコロナによる死者は6千人を超えている。次の備えに何が必要か。国や自治体は反省点を洗い出し、効果的な対策に取り掛かるべきだ。(昭)









