苫小牧市内でシカが市街地に出没し、市民とのトラブルも相次いでいる。市が受理したシカに関する通報や対応に当たる件数は右肩上がり。山林の緑が消える冬の期間はシカの群れが目撃される事例も増えるため、市は11月から初めて市街地近くでくくりわなを使った捕獲に乗り出すほか、効果的な対策を模索している。
9月2日の朝、市王子町在住の病院職員大桑勝実さん(54)は借りている北光町の畑を訪れ、言葉を失った。畑の周囲に張ったネットがなぎ倒され、収穫間近の枝豆やトマトなどが茎ごと折られて散乱していたのだ。「畑作りは収穫の喜びがある」と7~8年前から続けているが、「最近はシカ対策に1万円ほど掛かっている。スーパーで買った方が安いぐらい」とうなだれた。
同日も以前より約30センチ高い210センチのくいを買い、1日がかりでネットを取り付けた。「シカが人間が怖がらなくなっているように感じる。市も何らかの対策を」と求めた。
市環境生活課によると、シカに関する苦情・相談や事故に遭った死骸の処分などで職員が対応する件数は、2021年度で359件に上り、前年度177件の約2倍に増えた。今年度も8月末時点で前年同期比22件増の64件に達している。
市はシカの生息数が増えている可能性があるとみて、今年度初めて11月~来年2月の期間、中心市街地に近い場所でくくりわなを使い、シカ約50頭の捕獲事業に取り組む計画だ。同課の武田涼一課長は「山林などに植物が少なくなる秋から冬にかけて市街地まで食べ物を求め、出没が目立つ傾向がある」と指摘する。
市のホームページではシカの特性として▽2メートルの高さを跳べる▽警戒心が強いが、慣れると大胆になる▽かかとが傷つく足場の悪い場所を嫌う―などを挙げ、ネットや支柱を使った庭での食害対策を解説。この他、職員が相談に応じて現地に出向き、対策を助言したり、シカを驚かすフラッシュライトを一時的に貸し出したりしている。また、シカとの衝突事故を防ぐため、市道脇の草木を除去して見通しをよくする対策も範囲を広げて実施する予定だ。
















