避難

避難

 6日もまた2発、北朝鮮から弾道ミサイルが発射された。2日前に聞いたJアラート(全国瞬時警報システム)のなんとも気持ちの悪い音。鳴った瞬間、すっかり覚えてしまった緊急地震速報とは違うということだけは分かった。「建物の中または地下に避難してください」。まさに家を出ようとしたところ。地下があるはずもなく、数分じっとしていたが、警報がミサイル通過とほぼ同時刻だったり、関係の無い東京の島しょ部にも出されたり、課題も明らかになっている。

 日本海溝・千島海溝を震源とする巨大地震の津波想定が昨年7月に見直され、苫小牧市は高さ最大9・7メートル、浸水範囲は道内で最も広い1万ヘクタール超。浸水域外に逃げられない場合は高さのある避難施設や避難タワーが必要になる。ミサイル攻撃からの避難には地下。上にも下にも避難場所が要る。容易ではない。

 地震の発生は防げないが、ミサイルや戦争は防がなければならない。「暴挙だ」と何度抗議しても、「断じて許されない」とどれほど強く非難しても北朝鮮は発射をやめず、ロシアはウクライナ4州を一方的に併合した。加えて北朝鮮は核実験を準備しているとされ、ロシアは核兵器使用をちらつかせる。「国際社会」の非力さに唇をかむ。地震と同じように、どんなに主張しても防げないのではないかと絶望しそうになる。それでも、武力行使は許さないと言い続けるしかない。武力だけではなく、どんなささいな暴力も。(吉)

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