行方不明者「家族の元に帰したい」 知床住民ら願う 

行方不明者「家族の元に帰したい」 
知床住民ら願う 
観光船沈没事故の犠牲者を悼み、献花台の前で手を合わせる女性=23日午前、斜里町

 知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故は23日で発生から半年を迎えた。地元のオホーツク管内斜里町関係者からは犠牲者を悼む声や、「家族の元に帰したい」などと、いまだに行方不明となっている乗客の早期発見を願う声が聞かれた。

 町役場の献花台には、現在も途切れることなく花が手向けられている。友人と共に献花台を訪れた町内の女性(70)は「とにかく早く、残された方が見つかってほしい。少しでも家族が癒やされてくれたら」と話した。地元での悲惨な事故に、「つらくて忘れられない。町民として来ないわけにはいかない」と、毎月23日前後に献花台を訪れているという。

 献花台には、行方不明者の知人からとみられる手紙も供えられた。手紙には「寒い海のどこかにいると思うと言葉にならないよ」「必ずまた知床の海に会いに来るからね」と記され、不明者との再会を願う思いが込められていた。

 事故当日、航行するカズワンを最後に目撃した地元ガイドの綾野雄次さん(62)は、目撃場所を通るたびに、乗客の姿を思い出す。半年がたつが、「行方不明者がいて、事故は現在進行形」と訴え、今もツアー中に双眼鏡で海を見たり、海岸線を歩いて捜索したりしている。「手掛かりがあれば家族の元に帰してあげたい」と力を込める。

 事故は4月23日に発生し、20人の死亡が確認された。第1管区海上保安本部(小樽市)などは、行方不明者6人の捜索を続けている。

  安全対策を急ピッチ実施 事故受けて国交省
 沈没した観光船「KAZU 1(カズワン)」の運航会社「知床遊覧船」のずさんな安全管理体制は、国の不十分な制度やチェック機能の下で見過ごされていた。事故から半年。国土交通省は有識者らによる検討委員会で安全対策の見直し作業を急ぐ。新対策の一部は既にスタートし、法改正が必要なものは、年内に制度の詳細をまとめる方針だ。

 検討委は7月に公表した旅客船に対する安全対策の中間とりまとめで、47項目の必要な対策を挙げた。監査強化や行政指導の公表など14項目が9月末までに始まった。

 残り33項目には、不適格事業者排除のためのより強力な対策が含まれる。罰則に拘禁刑導入、事業許可の更新制、運航管理者の試験導入だ。海上運送法などの改正が必要なため、国交省は年内に制度を詰め、来年の通常国会に改正案を提出するとみられる。

 安全設備の更新も急務だ。同省は荒天時に水中に入らず乗り移ることが可能な「改良型救命いかだ」の開発をメーカーに依頼。来年の早い時期にも一部商品化できる見込みという。いかだの購入支援として20億円規模の補助金も用意する。

 47項目提示後も、ドライブレコーダーの設置義務化、行政処分の対象拡大など新しい施策を打ち出した。検討委は年内にとりまとめを出す予定だが、運輸安全委員会による調査の長期化が予想されるため、来年以降も安全対策につながる事実が判明すれば、検討委を開催する。

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