「鵡川ししゃも」のブランドで知られるむかわ町特産シシャモの漁獲量は今季、わずか64・6キロにとどまり、記録が残る1998年以降で最も少なかったことが分かった。鵡川漁協によると、過去最低だった昨季の1・4トンを大きく下回った。水産研究機関は、昨年夏の海水温の高さで稚魚の多くが死んだのでは―と推察する。深刻な不漁の影響がまちに広がっている。
同漁協は1日に今季の漁を解禁した。昨季の記録的不漁を踏まえ、期間を20日までと前年より短縮したが、漁は初日から低調。11隻出漁したが、各船とも20匹程度しか取れなかった。その後も厳しい状況が続いたことなどから、5日間前倒しして15日で終漁した。同漁協の小定雅之専務理事は「来年に向けて資源を確保するため、漁期後半に入ってからほとんど取らなかった」とし、予定より早めに終えた理由を説明する。
極端な少なさで今季の漁獲高は、昨季の約790万円の1割にも満たない63万2000円に。一方、品薄から1キロ当たり平均単価は9783円と跳ね上がり、昨季を4000円以上も上回った。
「鵡川ししゃも」を扱う地元の水産加工品店は、品薄や仕入れ値の高騰に苦慮する。ある店主は「量が少ないので浜値が高い」と顔をしかめた。この時期、名物シシャモの味を求めて町に足を運ぶ観光客は多く、「今年は道外からの旅行客が増えてありがたいけれど、価格が高くなり、申し訳ない」と話した。
影響はイベントにも及んでいる。町観光協会などでつくる実行委員会は、町内で今秋予定していた「鵡川ししゃもまつり」を中止した。来場者に提供する地元産シシャモが確保できないのが理由だ。観光協会の担当者は「9月末から毎日、祭りの日時を尋ねる電話が各地から寄せられ、楽しみにしている人は多いものの、中止せざるを得なくなり残念だ」と語った。
不漁の理由について道立総合研究機構栽培水試(室蘭市)は「昨年夏の海水温が高かったため、稚魚がほとんど死んでしまったのではないか」とみる。シシャモは10~11月ごろに川を遡上し、産卵。翌年春にふ化した稚魚は沿岸海域で1~2年かけて成魚になった後、生まれた川に戻るとされる。稚魚は高い海水温に弱く、「昨年8~9月の胆振・日高沿岸の平均海水温は20度を超える状況が続き、それが不漁を引き起こした」との見方だ。
同漁協のシシャモ漁獲量は減少傾向にある。19年は38・3トン、20年3トン、21年1・4トンと落ち込み続け、沿岸海域の海水温が影響しているとみられる。
町は特産品を生かした地域経済の振興に向け、新たなシシャモふ化場施設の稼働を予定する中、稚魚の成長を阻害する海の環境変化を懸念。町や地元関係者は「早期に回復してほしい」と願うばかりだ。
















