模型飛行機の組み立てに凝ったのは小学校の高学年の頃だった。失敗ばかりで満足に飛ばせたことは一度も、ない。それでも小遣いをねだっては文房具店へ出掛けた。
NHKの連続テレビ小説「舞いあがれ!」で模型飛行機を作る場面を見て、子どもの頃に空と飛行機に憧れ模型作りに熱中していたことを思い出した。
模型はゴム動力のプロペラ機だ。胴体になる四角い木の棒とゴム、プロペラ、羽根の木製部品と先端部分用の竹ひご、羽根に張る紙などが、細長い紙の袋に入っていた。接着剤の強烈な匂いも忘れられない。これらを設計図と共に床の上に広げて、竹ひごを円く曲げる時に加熱するろうそくを用意すれば準備は完了だ。あとは設計図の通りに組み立てれば飛ぶ―はずなのだがこれがなかなか飛ばない。
プロペラを反対に回して長いゴムに力をため込み、大空に向かって押し出すが、ほんの数メートル飛んだだけで地面に激突して壊れた。子どもの夢は大空へ届かず、次の夢に移った。
ロシアが始めた戦争で、ドローン(無人機)がエンジンを積み替え、爆薬を運び、偵察だけでなく爆撃や殺りくの主要な武器になっているという新聞記事を読んだ。機械の運命は使う人によって決まる。自分の夢や遊びが後々の戦争のずいぶん近くにあったことを教えられた。
ドラマの主人公は人力飛行機のエンジン兼操縦士として空を目指す。自分は苦い記憶を胸にウクライナの報道を読む。(水)









