広がる「だけボラ」 苫小牧東高ホッケー部が灯油運搬

広がる「だけボラ」 
苫小牧東高ホッケー部が灯油運搬
灯油のポリタンクを高齢者宅まで運ぶアイスホッケー部の生徒

 苫小牧市社会福祉協議会が昨年6月にスタートさせたボランティア事業「だけボラ」が、市内で広がりを見せている。「○○だけ」と活動を限定して担い手の裾野を広げ、手助けを必要とする人とつなげる仕組みで、今月4日には苫小牧東高校の生徒が住吉町1の市営住宅の高齢者宅まで灯油を運ぶ初めての試みが始動。高齢化が急速に進展する中、地域での新たな支え合いの形として「だけボラ」を充実させたい考えだ。

 「こんにちは、苫小牧東高校アイスホッケー部です」。はつらつとしたあいさつで自宅を訪れた男子生徒に、高齢者は「来てくれてうれしいよ」と笑みを浮かべ、空になったポリタンクを手渡した。生徒は駐車場で待機する佐藤燃料(勇払)のタンクローリーで灯油を満杯にし、階段を上って高齢者宅まで届けた。

 初回の同日は市営住宅13棟に入居する約410世帯の中から高齢者や障害者、母子世帯など、タンクを持って階段を上るのが困難な人を市社協が取りまとめ、7世帯が利用した。灯油が残りわずかとなり数日間、ストーブをつけず寒さに耐えていたという女性(71)は「灯油を運んでくれていた息子が体調悪化で頼れなくなり、困っていた。本当に助かります」とほっとした表情を浮かべた。

 同部の渡辺大雅主将(3年)は「こんなに重い物を運んでいたのか―と高齢者の苦労を感じた。自分たちにとっても階段の上り下りはいいトレーニングになる。運ぶだけで喜んでもらえるなら、何よりだと思う」と語った。今後も月2回の活動を計画している。

 同市営住宅は5階建てで、エレベーターはない。18リットルのタンクは灯油を入れると重さが約15キロになるため、高齢者らにとっては相当な負担。バランスを崩して灯油をこぼしてしまい、他の住民から苦情が出るケースもあったという。

 地域の民生委員児童委員が、市明野地域包括支援センター主催の地域ケア会議で高齢者が抱えている困り事として報告。これがきっかけとなり、「だけボラ」事業の活用につながった。同センターの担当者は「介護サービスだけでは対応し切れない生活課題が増えている。地域の支え合い活動を模索しているわれわれにとっても、だけボラは好事例となる」と話す。

 現在、だけボラの登録者は84人。庭の手入れや樹木の剪定(せんてい)、自宅の片付けやごみの分別など、高齢者が生活の中で感じている”ちょっとした”困り事を、その作業を得意とするボランティアの手助けで解消している。

 市社協地域福祉課の千寺丸洋課長(53)は、「ごみをルール通りに捨てられない、ポリタンクを運べない―など、端から見るとささいな困り事でも、住み慣れた自宅での生活を諦めなければならないほど大きな課題となるケースも少なくない」と指摘。「今後も地域の困り事の掘り起こしと担い手の確保を進め、事業を発展させたい」と話している。

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