四重苦

四重苦

 今年は、年金受給額が6月受け取り分から前年度より0・4%少なくなった。引き下げは2年連続のことで、満額の老齢基礎年金(月額)は6万5000円を割り、6万4816円になった。厚生年金も同様に減額され、高齢世帯の家計は痛手を負っている。

 10月は、一定の収入を得ている75歳以上の医療費負担が1割から2割に引き上げられた。対象になったのは、年収200万円以上の単身者と同320万円以上の夫婦。約370万人が憂き目に遭った。本紙なんでもトーク欄には、病院通いなどにタクシーを使ったり介護サービスを利用したりする年代にとって、負担の増加は厳しいという声が寄せられている。

 そんな中で今、介護サービスを利用した時の自己負担割合を増やすことが検討されている。現在は原則1割で、所得に応じ2割以上負担する人もいるのだが、この対象者が増やされる気配だ。仮に月々5万円のサービスを利用中の人が2割になれば、負担額が5000円から1万円に跳ね上がる。

 年金支給額の減額、医療費の自己負担額の増額、円安などによる物価高に、介護サービス利用の自己負担額まで増えれば、高齢者には四重苦。本紙は企画「長寿100歳ばんざい」で百寿の苫小牧市民を紹介しているが、100歳はもちろん、戦後日本を成長させてきた人々が、長生きできてよかったと笑顔で万歳できる世の中だろうかと思うと、胸が苦しくなる。(林)

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