マスクをしていない人に出会うと、気に留めてしまう。マスクを着けることが当たり前になった日常の過敏な反応なのか。そう思わせるほど新型コロナウイルスの新規感染者が急増している。
今夏の感染「第7波」では致死率や重症化率が季節性インフルエンザを下回ったというデータが厚生労働省の調査結果で出ているものの、飲み薬がまだ普及していない中では「風邪」のように考える訳にはいかない。まだまだ感染対策に力を入れる日が続く。
国も「第8波」に備えた体制整備に重い腰を上げ、今国会に感染症法の改正案を出しているが、これが中途半端としか思えない。感染が拡大すると必ず懸念される医療逼迫(ひっぱく)。これを防ぐため都道府県が地域の中核的な医療機関と事前に協定を結んで、病床や外来医療の確保を義務付けるとしている。
ただ、地域の中で中核的な医療機関はすでにコロナ患者を受け入れており、それ以外の診療所や病院は今回の改正案からは外れている。これで新たな病床確保などにつながるのかは疑問だ。
仮に「ベッド」を確保できても、そこで働く看護師などの人材確保に具体策はない。地域をまたいでの人材融通を推奨するが、融通し合えるほど人材が豊富な医療機関はないだろう。コロナの改正案での位置付けもあいまいなままだ。「第8波」をどう乗り切るか。法改正は間に合いそうもない。(昭)









