20代前半の数年間、札幌で草サッカーをしていた。所属していたのは、大学時代にアルバイトをしていた飲食店の従業員と常連客でつくるチーム。苫小牧民報に入社後も日曜日は練習に通い続けたが、仕事の疲れがたまり、1年で力尽きた。
チームメートは、高校の強豪校でプレーしていた男女から競技未経験の中年サラリーマンまでさまざま。そんな中でほとんど戦力にならなかったが、パスを受けられそうなスペースを探し、全力で走るのが最高に楽しかった。当時、拳法の達人が活躍する少林サッカーというコメディー映画がヒットしていたが、このチームも個性的で空手家の常連客のシュートは弾丸のようでいつも対戦相手をうならせたし、元バレリーナの従業員のパスは芸術的だった。超攻撃的で、不思議と個人技がかみ合うと格上を倒すこともあった。今回の歴史的逆転勝利の日が仲の良かったチームメートの誕生日だったこともあり、3年前の閉店で活動休止状態にあるチームのことを急に思い出した。
サッカー・ワールドカップ初戦は下馬評を覆し、強豪ドイツを撃破した。耐えて、攻めて勝ち取った金星。過去6大会で初戦を落とした3大会はいずれも1次リーグ敗退に終わったが、16強入りの可能性は一気に高まった。次は27日のコスタリカ戦。まだまだ侮れない相手が控えているが、強みの組織力を生かした全力プレーで、さらなる番狂わせを演じてほしい。(輝)









