後半勝負、狙い的中

 重苦しい雰囲気に包まれた。日本は開始早々に自陣左サイドからクロスを入れられ、先制を許す。それでも「ドイツ戦の経験から0―1でいけばチャンスがある感覚はみんなが持っていた」と吉田。耐えて、後半に勝負を仕掛けるプランだった。

 金星を挙げたドイツ戦と同様に、粘り強く2失点目を防いだ。プレスは簡単にかわされ、ボールを奪ってもすぐに奪い返される。我慢の前半を終え、森保監督が動いた。後半開始から堂安、三笘を投入。「攻撃的にいくしかない。アグレッシブにいった」と堂安。果敢にドリブルを仕掛けた。

 前線からの激しいプレスがはまり始める。後半3分、堂安がペナルティーエリア右から強烈なシュートで同点。その3分後、三笘の折り返しを田中が押し込んで勝ち越し。当初は三笘がクロスを上げる前にゴールラインを割ったと判定され、「正直、出てるかなと思った」と田中。VARの検証で得点が認められた。

 同時刻開始のコスタリカ―ドイツの結果にも命運を左右された。終了間際、引き分けでは敗退が決まる状況に。後半42分から出場した遠藤は「全員に(状況を)伝え切れなかった」と明かす。リードした展開での試合運びは何度も話し合い、共通認識を深めてきた部分。声は届かなくても、全員が集中力を保ち、紙一重の勝負を物にした。

 開始から3バックで臨んだ。この4年間、数度しか試さなかったシステムで挑んだ大一番。交代選手が攻撃を加速し、初戦を再現したかのような流れだった。再び世界を驚かせたが、狙うのは史上初の8強。「新しい景色を見たい」と吉田。優勝経験のある「2強」を破った喜びもそこそこに、視線を次に向けた。

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