冬来る

冬来る

 苫小牧を抜けると雪国であった―。そこまで大げさではないけれど、一昨日の夜、仕事を終えて車で自宅のある町に入った途端、道路が白くなっていた。雪雲が流れたのだろう。冷え込みに肩をすくめる季節は一気に進む。1日の東胆振は今季初の真冬日に。体調管理に気を付けたい。

 はや師走。振り返れば国際平和が揺らぎ、安全保障問題を突き付けられた年でもあった。ロシアのウクライナ進攻で背筋が凍る映像をテレビで何度見たことだろう。大国の侵略行為は今なお続く。寒天から降り注ぐミサイルにおびえる人たちの無事を祈るばかりだ。

 北朝鮮もかつてない頻度でミサイル発射を繰り返し、一発は日本上空を飛び越えて国民をひやりとさせた。若き指導者の行いは許しがたいが、挑発に乗って冷静さを失ってはいけない。政府は中国の脅威も念頭に防衛費倍増の方針を打ち出し、財源手当ての増税も検討しているようだ。国民の命を守る軍備は必要としても、増強の節度を守らなければ周辺国を刺激し、逆に地域の安定を損なう危うさもはらむ。軍拡を推し進めて悲劇を生んだ過去の過ちを教訓に外交にもいっそう努めるべきだ。

 あれこれ考えているうち、また価格上昇を伝える新聞記事に目が止まった。原材料費の高騰で来年春にかけて食品値上げが続くという。暖房燃料も高く、身の周りに物価高が押し寄せる。びゅーびゅーと家計に吹き付ける寒風が骨身に染みる。(下)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る