クリスマスで思い出すのは40代の頃の任地。近所の寺の住職がイブの夜、純日本風の僧衣姿で訪れた。右手に一升瓶、左手に大きなケーキの箱。その町の政治や行政、思い出などについてケーキをさかなに夜遅くまで話を伺った。
山あいの小さな町で生まれ育った。クリスマスの贈り物と言えば朝、赤や緑の厚紙製の長靴が1、2度、枕元に置いてあった。まだテレビや新聞がクリスマスに大騒ぎをする以前のことだから喜び方も分からず、贈り主をがっかりさせたと思う。この季節の哲学的な大命題「サンタクロースは実在するか否か」の議論をした覚えも、ない。
就職後は仕事絡みで、いわゆるクリスマス寒波を気にすることが多かった。「雪も寒さも真冬並み」とテレビアナウンサーが繰り返し、飛びきりの低温や雪が日本を広く覆う日が続いている。苫小牧の19日の最低気温は平年より8・6度も低い氷点下14・7度だった。確かに1月下旬から2月上旬の寒さだ。
全国のトナカイさんやクロネコさんたちも、託された子どもらの夢運びに苦労しているようだ。託した側だって心配が尽きないだろう。今年は子どもたちの先回りをして人気のおもちゃを買い占め、値段をつり上げる「転売ヤー」という連中も増えているそうだ。困ったもの。
全国紙には今年の出生数が77万3000人との推計も。統計開始以来初めての80万人割れとか。子どもの数も夢もしぼんでゆく、寂しいイブの夜。(水)









