東北フリーブレイズはシーズン中、チームのバスで移動するのが基本という。１８日までの第９０回全日本アイスホッケー選手権では本拠地青森県八戸市をたち、約１１時間かけて陸路を旅して会場の長野市に入り、３連勝で優勝した。

　日本一を懸けたトーナメント戦の決勝では同じアジアリーグ勢の前回覇者、ひがし北海道クレインズと対決し、延長戦後のペナルティーショット戦で下した。「短期決戦に集中力を発揮できた。選手一人ひとりが強い気持ちで挑んでくれた。ミスの数を最少に抑えられたと思います」―。５年ぶり２回目の王座に就いた後日、フリーブレイズ監督の大久保智仁さん（４６）に尋ねてみると声を弾ませた。

　駒大苫小牧高から進んだ東洋大を卒業後、西武鉄道ディフェンスとなって旧日本リーグにデビューした。西武廃部後はコクド、次いで日光に所属し、その後は韓国に渡ってハイワンなどにも加わって戦った。守勢で耐えつつ巧みにパックを制御し、味方に好パスを送った鉄人だった。現役晩年は東北でプレーし続け、コーチ修行を積んだ後、昨季から監督に就任していた。

　前回アジアリーグ・ジャパンカップ２位。今季のチームは海外挑戦中の主軸選手不在などもあってか、目下６位。大躍進の全日本優勝は集団に活気をもたらし、「各自が持ち味を出し切るのが選手とチームの理想」と語った。苫小牧から氷上の道を歩み続けて東北軍団を率いる出身者は先を見据えている。（谷）