性の多様性を象徴する色の組み合わせと知っている人は、どれほどいるのだろう。苫小牧市が今月のパートナーシップ制度運用開始を記念し、白鳥王子アイスアリーナの壁面を彩っているレインボーカラーのライトアップを目に、そう思った。市が同性カップルを公的に認める制度を取り入れたのは、性的少数者の存在を尊重する社会づくりの大きな一歩。当事者を巡る問題への無関心の解消を含め、市の取り組みに期待したい。
同制度は地元自治体で所定の手続きをした同性カップルを婚姻相当の関係と認定し、公営住宅に2人で入居できるようにするなど一部行政サービスを利用しやすくするものだ。これまで家族扱いされなかった人たちには朗報の施策であろう。導入する市町村は全国に広がる。だが、法的効力はない。世界で合法化が進む同性婚が日本では認められていない中で、扶養や相続など男女の夫婦と同等の権利を得ることはできないままだ。
自治体の政策の一つにすぎない同制度だけでは、不平等は埋められない。そう感じる当事者は多いはずだ。自認する性をさらけ出して生きられる保障を法的に整備し、差別のない共生社会をどうつくり上げるか。まずは多様な性への理解を深めるところから始めたい。(下)









