鉄路の時間

鉄路の時間

 日本の鉄道開業150年だった昨年、JR苫小牧駅を大みそかに出発し、新函館北斗経由で東北地方へ向かった。同時期に似た行程の旅は、かつて営業していた夜行寝台特急「北斗星」に乗って行った11年前以来。2016年開業の北海道新幹線に6年越しで初めて乗った。津軽海峡の向こう4県先で目指す福島県へ進む間、ときめかずにいられなかった。

 午前10時53分に「はやぶさ22号」で出発し、日中の移動は車窓の景色が楽しめた。青森県に入ると杉の林が多くなり、さらに南下して行くと、遠くに見える瓦ぶき屋根や立派な破風飾りがある民家が増えて本州の趣がした。郡山で在来線に乗り換えて最終目的地、雪景色の中にあった喜多方に着いたのは午後5時すぎと、寝台車の速度とは隔世の感だった。

 帰途に年始回りか帰省またはそのUターンの単身や家族連れ、外国人も含む観光客らと数多く乗り合わせた。米アップル共同創業者スティーブ・ジョブズ氏の名言は〈旅の過程にこそ価値がある〉―。鉄道マニアの「乗り鉄」や写真撮影愛好の「撮り鉄」でもない小職は行く先々や車内で販売される美酒を少々たしなむ「飲み鉄」として苫小牧に帰還した。今、「行動制限なし」の3年ぶり正月のひとときの貴重さをかみしめている。(谷)

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