苫小牧港・東港周文埠頭(ふとう)で新たな岸壁工事がいよいよ始まる。2022~27年度に総事業費約145億円(うち港湾整備費約130億円)で同埠頭1号岸壁を新設する。地元経済界などが物流の効率化を目的に、長年にわたり実現を求めてきた一大事業だ。事業を進める国土交通省室蘭開発建設部、苫小牧港管理組合が28日に着工式典を行い、港湾機能のさらなる強化を目指した整備着手を祝う。
「苫小牧港東港区浜厚真地区複合一貫輸送ターミナル整備事業」で、東港周文埠頭2号岸壁の南側に耐震強化岸壁の同埠頭1号岸壁を新設する。柔軟なフェリーダイヤの設定、トラック輸送距離の削減、災害など有事の際の対応強化といった効果が期待される。
事業では水深9メートル、長さ270メートルの岸壁をはじめ、泊地(水深9メートル、1・4ヘクタール)、港湾施設用地(2・3ヘクタール)、埠頭用地(1・9ヘクタール)を整備。26年度にかんらん岩輸送から暫定供用を始め、27年度末にも本格使用を予定しており、22、23年度は岸壁の地盤改良工事を行う。
東港では現在、2号岸壁に秋田・新潟、敦賀(福井)のフェリー2航路が就航し、砂や砂利などバルク貨物と共用している。道内各地の農水産品を関東圏に出荷する場合、午後7時30分発の秋田・新潟航路を使うが、トラックの陸送時間が合わずに函館港まで移動するケースもあるという。
例えば北見市から東京に輸送する場合、陸送時間は苫小牧港使用で18・5時間、函館港使用で25・5時間と7時間も差があるという。トラック運転手の働き方改革が求められる中、岸壁新設によるフェリーダイヤ拡充で海上輸送網を強化すれば、労働時間短縮やフェリー船内での休憩増につなげられる。
国交省は陸送短縮によるコスト削減効果は年間3億4000万円と試算。さらに悪天候時などの際に発生していたフェリーの滞船も、岸壁二つの使用で解消することで同8000万円、バルク貨物も同1億8000万円などと見込む。効果から事業費などを差し引いた50年間の便益純価値は53億円と分析する。
また、災害時にも活用する耐震強化岸壁は、石狩低地東縁断層帯で地震規模を示すマグニチュード(M)8・2程度の地震が発生する想定で整備。M6・7だった18年9月の胆振東部地震では、1週間ほどでコンテナ輸送を再開するなど物流拠点の機能は維持したが、緊急物資輸送で使う岸壁は限られただけに、より厳しい基準で大規模地震の備えとする考えだ。



















