恵方

恵方

 2000年代に生まれた人たちは、節分といえば恵方巻き―なのだろうか。昭和世代にとっては、恵方巻きを食べる習慣がなかったのはもちろん、のり巻きと何が違うのか、よく分からなかった。かといって子どもの頃の豆まきも、鬼役がいなかったり、拾い残した落花生の殻を後で踏んで痛かったり、それほどうれしい行事ではなかった。

 そんな落花生のおいしさに感動したのは、千葉県で暮らしていた約20年前。千葉は落花生の生産量日本一で、中でも収穫量最多の八街市の落花生は食べだすと止まらない。最初は「やちまた」が読めなかった。住所に「八街い」「八街ろ」というように「いろはにほへ」があり、新鮮な驚きに満ちた市だった。

 その「八街は」で痛ましい事故が起きたのは21年6月。飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み、児童2人が死亡、3人が重傷を負った。事故を受け、政府は全国に通学路の安全点検を求めた。苫小牧市も通学路交通安全プログラムに基づき対策を進めている。

 あすは立春。ここ数日の冷え込みと雪で春を実感するのは難しいが、新しく一歩を踏みだす子どもたちが安全に、元気に通えるように。今年の恵方「南南東やや南」に向かって祈る。(吉)

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