コロナ禍の悲劇を糧に―。苫小牧の小学生バレーボールチーム拓勇BRAVEが12日、拓勇小学校体育館で6年生女子5人の卒団式を開いた。年代別道内最高峰の大会につながる道南大会(昨年11月、苫小牧市)を新型コロナウイルスの影響で棄権。心折れずに競技と向き合い続けた最上級生たちは、飛び切りの笑顔で巣立った。
選手、保護者ら40人ほどが集まった式ではミニ大会や豪華賞品の当たるビンゴゲーム、6年生たちの活躍を振り返る動画上映などが行われた。紺井花音(拓進)は「楽しかったけど、ミニ大会で大人のチームに負けて悔しい」とはにかんだ。
突然の悲報だった。集大成の一戦に位置付けていた道南大会前日夜、チーム関係者に新型コロナ陽性者が出た。本番に向け連日練習を重ねていたこともあり、やむなく出場を見送った。「全員が感染症に気を付けながら過ごしてきたし、誰にも非はない。それだけにコロナがとてつもなく憎かった」と吉野ちはる監督は振り返る。
「出られないと分かったときはつらかった」と言うのは藤嶋美月(拓進)。昨年10月の全道級大会ななかまど杯(江別市)で3位入賞するなど波に乗っていただけにショックの大きさは計り知れなかった。
しかし、そこでくじけないのが彼女たちの真骨頂。「悔しさを力にして次に向けてもっと頑張ろう」(藤嶋)と残るローカル大会出場、中学年代での飛躍を見据え気持ちを切り替えた。「とにかく素直で明るい、試合の緊迫した場面でも笑顔になれる代。乗り越えてくれて本当に良かった」と吉野監督は目を潤ませる。
和歌杯(昨年12月、白老町)、もんべつとねっこカップ(今月、日高町)と各種地方大会では6年生全員がコートに立ち、持てる力を出し切った。「みんなで声を掛け合いながら楽しくプレーできた」と渡部紗奈主将(拓進)は胸を張った。
4月からは中学生。関根彩乃(拓勇)は「ブロック、レシーブ、アタックすべてをしっかりできるように成長したい」。渡部主将は「先輩たちに負けないくらい強い選手になる」と意気込む。
小林果鈴(拓進)は「誰一人取り残さない仲のいいチームになって、出場する全部の大会で優勝してほしい」と後輩たちにエールを送った。

















