打倒、私立高校―。第45回全国高校柔道選手権大会北海道大会(昨年12月、北海道立総合体育センター)の男子個人戦で、苫小牧工業高校の柔道部から66キロ以下で貝澤竜之介(2年)、73キロ以下で河西柚和(同)が3位入賞した。同校から複数が上位に入賞するのはここ20年ほどなかった。2人は夏の高校総体全道制覇に向けて、稽古に汗を流している。
貝澤は初戦から2試合、実力を出し切れないながらも粘り勝ち。準々決勝では延長までもつれた試合を得意の背負い投げで制したが、準決勝で寝技で敗退した。ベスト8だった昨年夏の全道大会から自身の成長を感じたといい「背負い投げに入る動作が上達した。夏の全道が終わってから、投げ込みなどの練習で動きのスムーズさを意識していた」と話す。入学時から宣言していた全道優勝に向け、練習量を増やして今夏の高校総体予選に挑む。
河西は初戦が対戦経験のある相手だった。「精神的に楽な試合運びができた」と振り返る。準々決勝は試合序盤で相手を崩し、絞め技で勝ち切った。準決勝で対戦したのは北海高の高橋侑也(2年)。相手の小内刈りをうまく返せず、一本負けを喫した。高橋は昨夏の全道大会でも敗れた相手だっただけに「今回は勝ちたかった」と悔しさをあらわにする。「次は寝技で押さえ込めるよう、体力と筋力をつけたい」と闘志を燃やしている。
同部は部員7人。うち1年生4人は全員が高校から柔道を始めた未経験者。下級生への指導を通じ、経験者の2年生3人も技の理解が深まっている。練習量や環境では私立にかなわないが、三澤正徳顧問は「生徒の自発的な練習が質を向上させている」と話す。中でも貝澤は、苫小牧柔道スポーツ少年団の同期が多数札幌圏の強豪校にスポーツ推薦で入学した姿を見て、対抗心を燃やしている。三澤顧問も「2人の階級は実力者ぞろいだが、全道制覇できるだけの能力とやる気が充実している」と太鼓判を押す。
1月の練習始めで、部員たちはそれぞれの年間目標を半紙にしたためた。貝澤は「挑戦」、河西は「勝利」と力強く筆を運んだ。道場の壁に張られた半紙を背に、苫工柔道部はきょうも練習に励む。

















