罪悪感

罪悪感

 国連難民高等弁務官事務所の2月中旬の集計によると、ロシアの侵攻を受け、より安全な土地を求めて国内に避難したウクライナ国民は535万人に上るそうだ。国外に避難した人も807万人。うち日本国内には約2300人が避難し自治体の公営住宅などで暮らしている。

 侵攻から1年に当たり、新聞やテレビが避難者を取材した。家族や知人らと再会し空襲警報の響かない場所で、ミサイルや戦車砲の恐怖を感じずにいられることへの感謝の言葉を聞き、笑顔がうれしい。しかし、避難者の何人かが笑顔を消して話す「罪悪感」という言葉にこちらの笑顔も消える。ウクライナに残る家族らの無事を願い「自分だけが安全な場所で過ごす後ろめたさ」をつらそうに話す避難民。安全の代わりに背負った心の傷の重さを想像しながら、終結を願うことしかできない罪悪感を、かみしめる。

 ロシア国民からも罪悪感は伝わってくる。街中でカメラを向けられ、作戦を支持する。経済制裁の影響はない―と答える人もいれば、目をそらし「答えたくない」と立ち去る人もいる。ロシアの言論の自由はその程度だ。保有する核の数を誇り、たけだけしく勝利を宣言するプーチン氏の神経が恐ろしい。きょうから3月。暖かさのもどった春なのに―。(水)

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