村井さんの教え あまたの命、源は水

村井さんの教え あまたの命、源は水
雪解けの斜面に咲いていたヒメイチゲ

 3月にお亡くなりになった村井雅之さん(自然誌研究家=紙面で「教えてムラさん」を執筆)が支笏湖温泉で行われた自然観察会で「あまたの命の源は水」と話してくださいました。もう20年近くも前のことですが、それから私は、自然に身を置くときはいつも根底にその村井さんの教えを置いています。

 村井さんが亡くなられたことを先日知り、とても寂しい気持ちになりました。私は、村井さんが教えてくれたことを実感したくて4月8日、紋別岳(標高866メートル)を登ってきました。

 昨年よりも雪解けが早い園地ですが、やはり山の上の方は雪が多く、登山道の中間から上は膝くらいの深さの雪に覆われていました。北斜面の道には1メートル以上の残雪がありました。

 山頂に到着し見渡すと、湖とそれを取り巻く大自然のパノラマが広がっていました。エゾシカやエゾユキウサギのフンを見ました。ヒガラなどのカラ類や、アオジという夏鳥(繁殖のために南からやってくる春から秋に見られる鳥)のさえずりとキツツキのドラミングを聞きました。

 下山しながら、雪解けの斜面にヒメイチゲという春早々に咲く花を目にしました。ナニワズの黄色い小さな花を見つけたので、かんきつ系の花の香りを鼻から深く吸い込みました。越冬したクジャクチョウは斜面で日なたぼっこをしていました。

 雪解け水が側溝を流れる音に気付いたときは、「命の恵みが流れる音だ!」と感動しました。木々はまだ芽吹いていないので、こずえの間から支笏湖の様子がうかがえました。

 麓のシリセツナイ川周辺では、生え始めのバイケイソウの若々しい黄緑色が目にまぶしく映りました。命の息吹があちらこちらにありました。そばに支笏湖があり、ここに自然がある。それを感じることができたとてもいい時間でした。

 他にも村井さんの忘れられない言葉や思い出があります。これからも自分の中の宝物として大事にしていきたいです。

 この先、もう村井さんから教えていただけなくなってしまったのだと思うと、残念でしかたありません。

(支笏湖ビジターセンター自然解説員 吉田香織)

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