フィリピン政府は昨夏、日本の小売業界に対し、自国産バナナの値上げを要請した。肥料価格や船舶輸送費が高騰し、農家はほとんど利益が出なくなっているという。ほぼ毎日食べている果実だけにその後の価格動向を気にしてきた。家族は「少し高くなった」と言うが、店頭で値札を見てもあまりそう感じないのはもともとが安すぎたからだろう。
バナナの輸入相手は南半球を中心とした途上国、いわゆるグローバルサウスが中心。消費者が公正な価格で買うことが農家の生活を守ることにつながる。そう信じ、なるべくフェアトレード品や持続可能性に配慮したレインフォレスト・アライアンス認証が付いた商品を選ぶようにしている。生産者あっての農産物だ。
相場商品の青果物は、価格変動の要因が見えにくい。抜本的な待遇改善には流通システムの見直しも必要だろうが、こんな時こそ想像力を働かせたい。お手頃果実として長年、小売価格上昇が抑えられて助かってきたが昨今の物価高騰はどう考えても農家には死活問題だ。千歳では共に物価の優等生とされてきた鶏卵の農家が鳥インフルエンザにも苦しめられている。品薄な上、「高い」とたたかれて大変ですね―と人ごとではいられない。一定の値上げは甘受したい。(輝)









