閉塞感

閉塞感

 下宿私大生 初期費225万円―。2022年度に首都圏の私立大に入学した学生の受験費用から敷金・礼金までの初期費用の、平均額が前年度よりも2万円以上多く、過去最高を更新した。東京地区私立大学教職員組合連合会の調査結果が毎年この時期に報道される。翌日には「少子化対策『期待できぬ』61%」との世論調査結果の報道。ため息が出た。

 子どもを2人育てた。親は団塊、子は団塊ジュニアだ。子どもの教科書は無料だったが、医療費は確か有料。進学の仕送りは負担だった。奨学金や借入金の返済には卒業後、何年もかかった。国や行政の支援などない。そういう世代に生まれた巡り合わせを恨むしかなかった。

 転勤で遠くに住む息子と電話で、老いた親と定職のない子との同居が話題になった。引きこもった子が親を刺殺したり自宅に放火したり、悲惨な事件が多い。「俺たちの世代は就職氷河期。同じ世代の事件なんだよなァ」。息子の意見にうなずく。政治家を襲撃する者も現れた。職業も将来の展望も見えない、子どもらの長く暗い閉塞(へいそく)の時間。親は、自分の死後の子どもの生活を思い悩む日々。つらい時代だ。そしてある日、悲劇が始まる。子育て支援に地方こそ知恵を絞りたい。投票はその第一歩。(水)

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